年収交渉とは、
退職や転職を考える理由としてよく言われるものは「職場の人間関係」「仕事との相性」「「給与」の3点です。この他にも「会社の都合」や「家庭の事情」なども理由の一つとして挙げられます。
しかし転職の理由がどのようなものであっても新しい職場に求めるものは現状よりもよりよい条件(職場環境や給与など)であり、これらの要求はきわめて自然なことです。
「年収交渉」とは、新たに企業に転職するにあたって、こちらの希望する年収を提示し、企業側に受け入れを打診するものです。交渉というからには双方が要求の理由や受け入れの是非について十分な根拠を示されなければなりません。
一般的に大企業の場合は社員の所有スキルや経験、年齢などに応じて、給与額や調整可能範囲を決めており、企業が定めた基準で転職者の年収が゙決まることが多いため交渉の余地が少ないとも言われています。また個人や、家庭の事情が理由の交渉はまず無理と考えるのが一般的です。しかし、これらも個々のケースによって違ってくるため、交渉が無駄だとは一概に言えないのも事実です。したがって事前に十分に準備をして面接に臨む必要があります。
年収交渉の効果
転職にあたって、自分の希望年収を述べることは可能か不可能か、あるいは良いか悪いか?という問いかけを転職希望者はときに自分自身にしながら、不安に思い、悩むことも多いのではないでしょうか?
この問いの答えとしては、「交渉は可能ですし、悪いことではありません」となります。ただ、状況によるという但し書きが付きます。
最近は転職において、交渉を行なわない人がいるそうです。交渉を行なわない理由は
@言いづらかった
A採用されなかったら困る
B雇ってもらうことが先決
C即戦力となる自信がない
D給料は自分できめられるものではない
という意識に基づくものです。比較的スキルや経験が少ないとか、年齢的に不利と考える場合は給料のことには触れない傾向にあるようです。また、交渉をしてもしなくてもそれほどの給料アップを期待できないという意識も反映していますが、その背景には、昨今の景気動向、経済環境も大きく影響しているものと思われます。
一方で年齢が若い場合や、スキルや経験が豊富な場合は、年収交渉でも高い効果を挙げています。交渉が不可能とか、悪いという結論になるケースはわずかです。決して交渉が無駄ということではありません。むしろ根拠をもってしっかりと交渉することで効果を引き出すことは可能ということになります。
年収交渉の展開
年収交渉を効果的に進めるために、交渉を行なう理由、根拠をしっかり整理する必要があります。転職において、経験やスキルが不十分であれば、転職による給与アップはあまり期待できませんし、場合によっては給与額が減ることも考えられます。
一方、上位職への転職で高度な専門分野の職歴経験とスキルを持っていたとすれば、年収交渉で希望条件を企業側が受け入れる余地もあると考えられます。かたや年収交渉で失敗するケースは、自己のスキルを過度に評価し、実力にそぐわない要求や個人的な事情などを一方的に主張した場合、常識を逸脱した主張などは心証を悪くしてしまいます。
転職希望者が「なぜその年収が欲しいか」という説明のとき、企業側は「この人にそれだけの価値を見出せるか」言いかえれば、「この人に稼げるだけのものをもっているか?」というところをみています。「私はこれほどの価値があって、貴社に大きく貢献できる人間です」としっかりと売り込む必要があります。
交渉の勧め
ここに2人の転職希望者がいます。
Aさんは35歳で、今回で2度目の転職となります。現職は印刷会社で営業を2年経験しており、その前は知り合いの法律事務所で3年事務の仕事をしていました。正社員の仕事はこの2つですが、それまではフリーターで色々なアルバイトや地域ボランティアに参加をしていました。転職の理由は現職の給料が安いからというものです。家族の生活を支えていく上で現職の給料より大幅な給与アップを狙っています。
一方、Bさんは、35歳のエンジニアです。卒業後、現在の施設管理会社に就職し、技術畑一筋にやってきたベテランです。仕事に対しても意欲は高く、業務関連の資格なども次々に挑戦して取得してきました。今回、自分自身をさらにステップアップするために一大決心で転職を決意しました。これまでに培ってきた経験を活かして同様の仕事で給与条件の良い企業を探しています。
二人とも「給与改善」「年収アップ」が一つの転職の大きな理由としています。二人とも年収交渉をしたいと考えているのですが、どのように交渉を進めていけばよいか悩んでいます。経験、スキルという点では両極にあると思われるAさんと、Bさんそれぞれにどんな交渉の仕方があるかを考えてみましょう。
交渉の不安悩みの解消のために
不用意な年収交渉はお互いに不幸な結果になることがあります。
年収交渉の前提として、まず、転職したい理由を明確にすると同時に企業に対して出来る事柄もまとめておきます。企業にとって転職者の貢献度合いを見る判断材料になります。面接時に給与に関して企業側から聞かれたら、ある程度具体的な数字で示すと同時に、企業側の事情も考慮し検討の余地を示します。
Aさんのように経験やスキルがまだ不十分な場合には、職業経験のみでなく自己の性格、ボランティアや地域貢献などの社会経験も含めて仕事への意気込み熱意を売り込むことが大事です。
Bさんのようにその道で経験を積み幅広いスキルを有している場合は、スキルや経験を価値付けながら訴えて自分自身の市場価値を高めます。企業側から年収に関して問われたときのタイミングは、最終面接の前段階で、やや控えめに提示するのがよいとされています。年収交渉自体がマイナスイメージを与えることもあり得るからです。
このように転職にあたって不安悩みは尽きず、面倒なものです。そこで転職全般にわたり気軽に相談し、アドバイスを受けたり、内定時の年収交渉を代行してくれるのが「人材バンク」のような転職支援会社です。プロに相談し、転職をものにするのが今では最も賢い方法といわれています。あなたも一度プロに任せてみてはいかがでしょう?